まだまだ、一般的な利用が難しい3Dプリンタ
3Dプリンタのニュースは、良く聞きますし、設置している施設もどんどん増えています。個人で購入しやすい安価なものも多くなっています。
でも、3Dプリンタがインクジェットプリンタと同じ価格帯になったとしても、同じように爆発的に売れるとは思えません。
なぜなら、ほとんどの人は、3Dプリントするためのデータを、自分自身で作れないからです。
写真や年賀状を印刷するときは「目的」があり、データは誰でも作れる
一般家庭でインクジェットプリンタを使って印刷するものと言えば、写真、年賀状、書類などです。印刷するときは、それぞれに明確な目的があります。
また、印刷する元になる写真や書類のデータは、誰もが作れるものです。では、3Dプリンタの場合はどうでしょうか。
データ作成やメンテナンスの敷居が高い3Dプリント
3Dプリンタを手に入れたら、何を印刷したいですか?フィギュア?アクセサリー?スマートフォンのケース?でも、元のデータはどうしますか?
インターネット上では、3Dプリンタ用のデータが無償で入手できます。例えば、スポーツカーのデータ。でも、それを3Dプリントするために、わざわざ、何万、何十万もする3Dプリンタを買いたいと思う人は、多く無いでしょう。
自分自身が、CGソフトで作った仮想空間の創造物が立体化されれば、それはとてもうれしいものですが、多くの人にとって、3DCGのデータ作成は敷居が高いもの。
また、3Dプリンタのもう一つの難しさに、メンテナンスがあります。身近な人達が3Dプリンタを持っていますが、割と壊れやすい印象があります。
汎用的な3Dプリンタは、熱で樹脂を少しずつ溶かし、層を重ねて形を作ります。このような長時間、熱を持ち、電力を消費する仕組みから、樹脂を出力するヘッドや、電源ユニットが壊れやすいようです。
このように3Dプリンタ本体が壊れたときに、故障箇所を見極め、自力で部品を交換して修理できる人は大丈夫ですが、誰かの力を借りないと直せないという人には、少し扱いが難しい道具だと思います。
現時点での実用的な3Dプリンタの使い方
このように考えると、まだ、今の段階では、多くの人にとって3Dプリンタは所有して楽しめるものでは無いと考えられます。では、どのような使い方が実用的でしょうか。
いわいが考えるのは、「古くなった家電製品や家具などの補修部品を作ること」です。大切に使ってきた製品が壊れたとき、メーカーに部品の在庫が無いために、修理できないことがあります。
その部品を直せば、まだまだ、使えるものであっても、それが無ければ粗大ごみになってしまいます。そこで、3Dプリンタの出番です。
電子回路のような電装系の部品は難しいですが、物理的な部品であれば、3Dプリンタで作れる可能性が高いです。元の部品があり、それが小さなものであれば、3Dスキャンしたデータを元に、パーツのCGデータを作れるでしょう。
多くの人は、CGやCADのソフトは使えないと思いますが、3Dプリントのサービスを提供している施設であれば、それらのソフトを使える方もいるはずです。
費用はかかるかもしれませんが、諦めかけていたものを、部品を作って、これからも長く使えるかもしれません。
面白みに欠ける使い方かもしれませんが、これが現時点で、もっとも現実的で実用的な3Dプリンタの用途だと思います。
身近にある施設で、このような形で3Dプリンタに慣れ親しみ、興味を持ったら、CGデータ作成の方法などを学び、その後に3Dプリンタを購入しても良いのではないでしょうか。